Announcement
重要なお知らせ
本学附属病院および当PCRセンターでは、新型コロナウイルス感染の診断を目的とした外来患者さんのPCR検査は受け付けておりませんのでご了承をお願い申し上げます。詳しくはこちらをご覧下さい。
『インハンド』(講談社)朱戸アオ先生による、当センターHPのためのトップ画です。PCRの試薬を混合する、天才科学者・紐倉哲(主人公)。機器や器具は全て当センターのものを参考にして描かれています。
"0.54 days"
この数字は、東京慈恵会医科大学の基礎系講座において、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRT-qPCR検査をした際の、結果が出るまでの平均日数です(4月24日時点)。半分近い検体の検査結果が、その日のうちに判明します。
本学の基礎系講座において、新型コロナウイルスの検査系を構築できないか。本院感染対策部から打診があったのは2月上旬のことでした。行政検査の体制作りが遅れること、また行政検査の結果を待つ時間が掛かることは当時から予想され、それならば本学基礎系感染症研究者の技術の粋を集め、in-houseで独自にPCR検査を実施しよう、というアイデアでした。附属病院中央検査部の検査体制をバックアップをしようという目論見でもあります。果たして、2月14日に本学熱帯医学講座にアカデミック版の新型コロナウイルス検査体制がローンチしました。それ以来、延べ1400件を超えるRT-qPCR検査を実施しています。この間、本学附属病院で発生した院内感染における接触者検査を支援し、封じ込めに貢献しました。この体制をさらに発展させ、この度、本学にTeam COVID-19 PCRセンターが設置されました。
新型コロナウイルス感染症で苦しむ患者さんを救うために、患者さんに寄り添う医療従事者を守るために、特定機能病院としての使命を果たすために、当センターは、アカデミアの力で徹底的にウイルスを見つけ出し、社会に貢献します。
図 本学Team COVID-19 PCRセンターでの新型コロナウイルスRT-qPCR検査数の推移
CONCEPT
目指すもの
東京慈恵会医科大学の基礎系講座のうち、感染症系3講座(熱帯医学・ウイルス学・細菌学)に所属する教職員がコアとなり、本学附属病院での新型コロナウイルス検査を後方支援しています。
①速い(rapid)
附属病院が診療をする平日月曜日〜土曜日、毎日午前に感染対策部に鼻咽頭スワブ検体が集められ、当センターに届けられます。その日の夕方にはRT-qPCR検査の結果が判明し、感染対策部を通じてそれぞれの診療科へフィードバックされます。数日掛かる公的機関や民間検査会社と比較すれば、その利は計り知れません。
②上手い(accurate)
現在の基礎医学研究において、遺伝子レベルの解析は日常茶飯事であり、携わる研究者は普段からその取扱に長けています。一方で、感染症研究者は日頃から病原体に接することに慣れており、バイオセーフティレベルやPPEについての経験と知識が豊富です。コロナ禍の有事である今、これらの技術や知見を結集させて、病原体遺伝子検出に当たります。
③安い(affordable)
追加の人件費は不要であり、RT-qPCR検査に用いるための機具や機器は元より各講座に揃っています。つまり、試薬やキットなどの消耗品に係る経費だけで、新型コロナウイルスの検査が実施可能です。1検体あたりの実費は700-800円であり、保険適応の範囲を考慮することなく、”攻め”の検査が出来ます。
《当センターの検査対象》
・附属病院の新型コロナウイルス感染症入院患者
・院内感染における接触者
・法医解剖症例(全例)
・病理解剖症例
※当センターの一部が都の衛生検査所として登録されました(東京都登録衛生検査所 31港み生医第1360号)
※当センターでの検査結果が貢献した成果が報告されました「市中感染の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における咽頭および鼻咽頭拭い液でのウイルス量の推移に関する報告」
写真 鼻腔スワブからRNA抽出前処理をする嘉糠センター長
RT-qPCR
検査方法
Swab Test
スワブ採取
新型コロナウイルス検査のためには、患者さんから採取した検体が必要です。本学附属病院では、主に鼻咽頭ぬぐい液を採取します。採取に用いているのは、ナイロン製の「フロックスワブ」というもので、採取後に溶液に入れた際に、絡めとったぬぐい液を液中に放出しやすい利点があります。通常の繊維状スワブでは、むしろ吸水性が高いことが仇となりバッファーを吸い込んでしまうため、RT-qPCR検査の感度が落ちてしまいます。鼻咽頭ぬぐい液以外に、状況に応じて喀痰を検査に用いることもあります。
RT Reaction
逆転写反応
スワブに付着している組織や体液から、RNA抽出のための前処理をします。感染危険性があるので、BSL2(バイオセーフティレベル2)の実験室において、安全キャビネット内でこの作業を行います。その後、RNA抽出用の専用カラムや試薬を用いて、ウイルスRNAを取り出します。一般的に、RNAは大変分解されやすいやめ、慎重を期する作業になります。ウイルスRNAは、約1時間の逆転写反応(RNAを鋳型にして相補的DNAを作る)処理を経て、DNAへと変換され、qPCR反応へと供されます。
qPCR Reaction
定量的PCR反応
qPCRは、定量的PCRまたはリアルタイムPCRとも呼ばれ、ポリメラーゼ連鎖反応による増幅を経時的に測定することで、その増幅率に基づいて鋳型となるDNAの定量をします。この定量には、蛍光色素を用いて行われます。新型コロナウイルスのゲノム中に存在する、E遺伝子、N遺伝子、RdRP遺伝子をそれぞれ標的にして、増幅反応を進めます。ポジティブコントロール(陽性対照)には、国立感染研から供与されたウイルスRNAそのものを用います。反応に必要な時間は約30分程度です。
PCR TEAM
検査担当
CONTACT
問い合わせ
検査プロトコールや技術等の質問・相談を随時受けつけております。
Team COVID-19 PCRセンター
東京都港区西新橋3-25-8
東京慈恵会医科大学 熱帯医学講座内
Tel: 03-3433-1111(内2285)